ミクロ草創紀-予兆-2
とある建物の奥深く…異形のアクロイヤーが、指揮官風の男に罵声を浴びせていた。
牛頭のアクロイヤーの名前はゴズ。シヴィルの中でも、力自慢の勇者と讃えられる。 「貴様が撤退の命令を出さなければ、中枢システムの破壊は成し遂げられただろうに」 「しかし、ゴズ様。戦力を温存する意味でも、あの時の判断は正しかったかと…」 「まだ言うかぁ。所詮、ドロイドやミリタリーフォースなどは、ただの消耗品に過ぎんのだ」 ゴズが更に激しい打擲を加えていると、物陰から眠そうな声が聞こえてきた。 「…うるさいねぇ。コレじゃ、おちおち寝てやいられない」 とぼけた口調でコガネが答える。 「何故って?今のオレには昼寝くらいしかする事がないからね」 「そうそう。そのお方は、現在オモテのお役目中でね。オレが傍に居てはマズいという訳さ」 シヴィル総帥の護衛であるコガネが、その傍を離れる事は殆ど無い。それは裏を返せば、今現在の状態は、蟻一匹通さない護衛体制である事が想像出来るだろう。 「ところで、話は一通り聞いていたけど、ミクロポリス襲撃の件だろう?」 「それがどうした。貴様には何の関係も無い話だ」 語気も荒く、その言葉を突き返す。 その言葉を聞くと、いつも増上慢なゴズも少し態度を改めたようだ。 「…いや、その必要は無い。伝えるべき事は、全てそいつにも伝えてある」 「…あぁ。必要な時はそうさせてもらうとしよう」 チョーベエに一瞥をくれ、ゴズはその場を去っていった。 「ありがとうございます、コガネ様。本当に助かりました」 「なぁに。機械の体を持つ者同士、お互いに協力していかなくちゃね」 「相変わらずだね、チョーベエは。固い事は言わないでよ」 「まぁ、ゴズの気持ちを解れとは言わないけど、少しは察してやってよ。あいつは、以前に機械のミスで仲間を奪われた事があるからね。ついつい君には過敏になってしまうんだろう」 ゴズは純粋なアクロイヤー(ミクロマン)しか認めず、チョーベエはその存在を疎ましく思っている。「(機会があれば、あの単細胞は早めに取り除く必要があるな…)」 「そう言えば、シヴィルの入隊審査は、そろそろ大詰めだろう?今どうなっているんだい?」 チョーベエの暗い思考は、コガネからの突然の質問に遮られた。 「へぇ。二組も残っているとは優秀だね。どれ、最終審査はオレも加わらせてもうおうかな」 「なぁに、軽挙妄動は丈夫の美風であろうよ。それに、これから同志に加わるようなら、より多くの眼で実力を見極める事も必要だろうさ」 チョーベエには、動く筈の無い仮面の口元が、僅かに歪んだように見えた…。
by nekonekokoara
| 2011-07-06 12:00
| ミクロマン
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Comments(4)
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joefig at 2011-07-07 01:19
ゴズのルックスと単細胞の武闘派っぽいキャラクターはいいですね! コブラ・ナイト・ウォッチも格好いいです。画像が一気に10枚というのはスゴいです!
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acro_characin at 2011-07-08 13:45
お邪魔します~♪
ミクロストーリー、再開されるんですね! 楽しみにしつつ、影ながら応援させていただきます! 遊慈さんのミクロストーリーの画像、ちゃんと背景が考えられていてすばらしい! オレは背景真っ白でやってたなー、と思い出しつつちょっぴり恥ずかしくなりましたw まずは、登場人物の顔見せ的な展開から始まるんですねー! 今後の展開のためにも大事そうなパートですな。 次回も楽しみにしてますが、あまり無理はなさらぬよう! それではーノシ
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nekonekokoara at 2011-07-08 16:42
●joefigさん
ゴズのキャラクターは、前々から考えていたモノです。 マッチョで単純なキャラは子供の頃から好きなんですよね~。 実は、ローブの中はまだ仮ボディなので、 脱いだ姿も出せるように改造したいんですけども。 持っているフィギュアを活かしたいので、 GIジョーの面々はこれからも活躍の機会は多そうです。 画像は、当初の予定より大分多くなっちゃいましたね。 文章だけだと(私が)飽きてしまうので、 出来るだけ多く写真を増やしたいのですが…撮影は辛いです(笑)。
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nekonekokoara at 2011-07-08 16:44
●からしんさん
ご無沙汰しております~♪ 既に次の記事の作成で辛くなっておりますが、何とか再開出来ました。 そんな状態では、コメントを頂ける事が一番の頑張れる源ですね。 背景は手持ちのプレイセットで切り回しているのですが、どうにもならない部分も多いです。 そんな時はシーンを変えたりしているので、この後の展開がちょっと怖いですね。 最近はフリーの画像加工ソフトを勉強していたりするのですが…とても使いこなせません。 からしんが作っていたミクロストーリーは、当時ワクワクしながら見ていました。 あのお話が、「こんなストーリーが作りたい」という、原動力の一つになっています。 >登場人物の顔見せ的な展開から始まるんですねー! IPUの大まかな紹介は終わっているので、今回は敵方シヴィルの顔見せという感じですかね。 ストーリーのラストも大筋で決まっているので、 そこに向けてある程度破綻なく行けたら幸いですね。
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